学習力

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学習力

#2 ラケットボールにみる学習力

最近、ぼくはスポーツクラブでラケットボールを始めました。
無料の初心者講習に出ています。
最初に参加したときには
当然、ぼくが一番ヘタクソでした。
なんせ、生まれて初めてラケットボールをやるのですから。
当たり前のことですね。

講習に参加しているメンバーは
その当初からこの二ヶ月ほどほとんど変わっていません。
その中に一向に上達しない1人の中年女性がいます。

彼女は「できなーい!」と叫びながら
ボールを見ないでラケットを振り、
とんでもない方向にボールを打ってしまうことを
いつまでも繰り返し続ける。
自分の番が終わったあとも、
「難しいよね!できないよね!」と
他のメンバーに同意を求めてきます。
上手にボールを打ち返せない自分を
周りに見られるのが恥ずかしいのでしょう。
見るからにおどおどしていて周りの目を
ものすごく気にしているのがわかります。

そんなことを言ったら、
一番ヘタクソであるぼくは
もう恥ずかしくて途中でラケットを放り投げて
コートから逃げ出すしかないわけなんですが(笑)

練習後も
「1人でも練習したいんだけど、
 まだ、1人で壁打ちできる技術もないし…」
と一生懸命、自分ができない理由を周囲に伝えています。

そんな彼女を見ていて、
この後もなかなか上達しないだろうな、
そう思いました。

彼女に運動のセンスがないからではありません。

学習力が足りないからです。
学習に必要なメンタリティが不十分ということです。
これを学習メンタリティとぼくは呼んでいます。

  • 自分の問題点を明らかにする
  • 問題点を解決するための方法を考える
  • それを実行する
  • 失敗を恐れない
  • 成功するまで試行錯誤、反復を続ける
  • 難しい問題は細かく分けて部分ごとに1つずつ解決していく

こういったものですね。

彼女は周りの目を気にすることで頭の中が一杯。
コーチから色々なアドバイスをもらっても
その言葉が頭の中に入ってくる余地はありません。


自分の問題点を一つずつ解決していけば
できないことは決してないのですが、
そういう発想自体がそもそもないのだと思います。


「うまくできたか」

「うまくできなかったか」

それだけしかない。

学習力がある他のメンバーは
「できなーい!」
と周りの人に話しかけている暇があったら、
その代わりに1人でコーチの言葉を素振りをしながら確認したり
他人の番のときにもボールの動きをしっかりと観察して
落下点を自分の頭の中で予想するトレーニングをしたり……
疑問点があればコーチに直接、質問します。

そして、初心者講習でアドバイスをもらった後は、
1人でコートを予約して(無料なのです)、
その内容を納得いくまで練習する。

ラケットボールをはじめたばかりのぼくは
当然、その彼女よりも下手でしたが、
1人でさっさとコートをとって練習し始めました。
最初は、自分の手で足元に落としたボールを
一回ずつなるべくまっすぐ前に打つことから。

できることから徐々に練習していけばいいだけです。

学習のためには繰り返しが必要である、という
いたって当たり前の学習メンタリティを
彼女は身に付けていない。
だから、練習ができない理由を後付で作り出す。

周りのメンバーは日を重ねるごとに
各々自分のペースでだんだん上達していく。
それを見て1人、いっこうに進歩しない彼女はいっそう、あせる。
その結果、さらに彼女の頭の中は周りの視線に対する意識だけで
一杯になっていく……

学習のデフレスパイラルです。
低学力の子供達にも多く見られる現象ですね。

少し頭を使えば上達するための手がかりはたくさんあります。

しかし、彼女の心の中には

「上達したい」

という気持ちはあっても

「どうすれば上達するのか?」

と考えて行動するメンタリティがないのです。
学習のために頭を使う、という発想に乏しい。

これは運動神経の問題ではなくて
完全に「学習力」の問題です。